家の解体費用いくら?1坪当たりの目安や費用を抑える方法を紹介
最終更新日: 2024-11-25
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家の解体は、老朽化や建て替えを考えている方にとって避けられないことです。
一般的に解体費用は、1坪当たり木造で3〜5万円、鉄骨造で4〜7万円、鉄筋コンクリート造で5〜8万円程度とされています。
しかし初めて家の解体を依頼するとなった場合、解体費用が適正な価格かどうか素人には判断がつきません。
また、その内訳や相場、助成金など知らないことばかりで不安に感じる人も多いことでしょう。
そこで今回は、家の解体費用の内訳や相場について詳しく解説するとともに、解体費用を抑える方法や解体までの流れ、さらには注意すべきポイントをまとめて紹介します。
家の解体費用の内訳を解説
家の解体費用は、大きく分けて「建物の取り壊し費用」「廃棄物などの処理費用」「そのほかの費用」の三つがかかります。
それぞれ詳しく紹介します。
建物の取り壊し費用
まず、建物の取り壊しにかかる費用が最も大きな割合を占めます。
これは建物の規模や材質、構造によって大きく変わるため、個々の家ごとに費用の幅も大きくなります。
一般的に家の面積が大きくなるほど解体量が増えるため、費用がかかります。
また、家の素材が頑丈であるほど費用が高くなります。
例えば、木造住宅は比較的解体が容易であるため、費用が抑えられることが多いですが、鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート造)は重機や技術が必要になるため、コストが高くなります。
廃棄物などの処理費用
次に、取り壊しにともなって発生する廃材やゴミの処理費用があります。
廃棄物は法律に基づいて適切に処理する必要があるため、業者に依頼して処理することが一般的です。
その種類や量によって費用が異なり、木材やコンクリートなど素材によってもコストが変わります。
産業廃棄物として処理する場合、廃材の種類や量によって処理費用は大きく変わります。
また、アスベストなどの有害物質が含まれている場合、その処理には特別な手続きと技術が必要で、追加の費用がかかる可能性もあるでしょう。
また、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」により、手作業で分別することが定められている工程もあるため、費用がかかる場合もあります。
そのほかの費用
家の解体には、取り壊し費用や廃棄物処理費用のほかにも、以下に紹介するさまざまな費用がかかります。
- 仮設トイレや工事現場の整備費用
- 解体に使用する重機のレンタル費用
- 作業員の人件費
- 隣接する建物や道路を保護するための養生費用
- 騒音や粉塵対策の費用
これらの費用も解体全体のコストに大きく影響を与えるため、事前に業者に確認しましょう。
家の解体費用の相場はどう決まる?
家の解体費用の相場は、どのように決まるのでしょうか。
ここからは主にかかわってくる要素を5つ解説します。
立地条件
家の立地条件は解体作業の効率に直結するため、解体費用に大きく影響します。
重機が入りやすいなど作業がしやすい立地の場合は問題ないです。
しかし、隣家との距離が近い場合や、大きな重機が入りにくい道路に家がある場合、小さな重機での作業や手作業が増えるため、解体費用が上がるでしょう。
解体後には整地もおこなうため、地盤状況次第では改善が必要だったり、木々の伐採や石の撤去が必要だったりの費用も発生します。
屋根や基礎部分の大きさ
家の解体では、家の屋根や基礎部分の解体が大変なため、大きな費用がかかります。
一般的に建物が大きければ大きいほど解体作業には時間と労力がかかり、その分費用も増加します。
屋根は二重屋根や瓦屋根など、家によって解体の労力も異なり、費用の幅が大きくなる部分です。
基礎部分も家により異なり、次のような場合は手間がかかるため、費用が大きくなります。
- 基礎部分を頑丈な作りにしている
- 床下全面をコンクリートで覆うベタ基礎になっている
- 基礎部分が深い
- 地下室がある
- 基礎部分の構造が特殊である(古い家に多い)
- 劣化が進んでいる
- 家を建てる際に地盤改良工事をおこなっていて、杭を抜く必要がある
廃材の量
解体時に発生する廃材の量も、解体費用を左右するポイントです。
解体工事で発生した廃材は、分別して処分もしくは業者に買取をしてもらうことになります。
処分する場合、リサイクル法にしたがって分別する必要があり、人件費がかかる原因になります。
買取をしてもらう場合は、資源として売却できることもあるため、コスト削減につながる可能性もあります。
例えば、木材の場合は古民家1件で30〜50万程度、コンクリートがらは4000〜6000円(トン)など、廃材により金額は変わります。
近隣状況
近隣状況も、解体費用に直接影響を与える要因のひとつです。
住宅が密集しているエリアでは、隣接する建物や道路を保護するために、養生シートや防音対策が必要となります。
特に隣の建物が非常に近い場合には、解体時に振動や破片が飛び散らないようにするため、より厳重に養生が求められるため、そのぶん設置費用がかかるでしょう。
また、解体作業中に発生する騒音や粉塵については、近隣住民に配慮した対応が必要であり、そのための特別な防音・防塵設備を導入するケースもあります。
さらに、作業中に近隣住民への影響を最小限に抑えるため、作業時間や日程を調整する場合もあり、全体の費用が増加する可能性もあります。
壁材や床材の状態
壁材や床材の状態も解体費用に影響します。
特に古い建物の場合、壁や床にアスベストなどの有害物質が含まれていることがあります。
このような有害物質は、適切な処理手続きと専門的な技術が必要であり、通常の解体費用に加えて、特別な処理費用がかかることがあります。
また、建物の状態が著しく劣化している場合や、腐食が進んでいる箇所が多い場合には、解体作業が通常よりも手間取るでしょう。
それに伴って作業時間が長引き、費用が増加することがあります。
家の解体費用をできる限り抑える方法
家の解体には確かに費用がかかりますが、できるだけコストを抑えたいと考える方も多いでしょう。
ここでは、解体費用を抑えるための具体的な方法をご紹介します。
事前に庭の手入れや不用品を処分しておく
解体前に庭や家の中の不用品を自分で処分することで、業者にかかる処分費用を減らすことができます。
特に大型の家具や家電などを処分しておくと、解体時の廃棄物量が減り、その分コスト削減につながります。
また、庭木やフェンス、物置なども自分で取り除いておけば、業者に依頼する際の費用を削ることができるでしょう。
さらに、自治体が提供する粗大ごみ回収やリサイクルセンターを活用することで、コストを抑えながら不要物を処分できます。
リサイクルショップやフリマアプリを活用して、まだ使えるものは売却するのもひとつの方法です。
事前にこれらの作業をしっかりとおこなうことで、解体の見積もりも低く抑えられることが期待できます。
住宅ローンに組み込む
解体費用を抑えるために、住宅ローンに解体費用を組み込む方法もあります。
家の建て替えの場合、その住宅ローンに解体費用を加えることで、まとまった資金の管理がしやすくなります。
多くの金融機関では、建物の建て替えにともなう解体費用を住宅ローンの一部として認めているため、金利の低いローンの活用で支払総額を抑えられるかもしれません。
一度に大きな出費を避けたい場合には、有効な方法です。
ただし、ローンの条件や利息については事前に十分確認し、長期的な返済計画を立てましょう。
無理のない範囲でローンに組み込むことで、資金負担を軽減しながら解体を進められます。
助成金を利用する
特定の条件を満たす場合に、家を解体する際に国や自治体から助成金を受け取ることができます。
受けられるおもな助成金や補助金を一覧で紹介します。
- 老朽危険空き家の解体補助金
- 木造住宅解体工事補助金
- ブロック塀等撤去費補助金
- 建て替え工事助成金
- 空き家対策補助金
- 危険廃屋解体撤去補助金
- アスベスト除去に関する補助金
- 空き家再生等推進事業
- 特定空き家対策補助金
- 地域活性化補助金
助成金や補助金は自治体によってさまざまなため、お住まいの自治体の情報を確認してください。
また、助成金の申請には、解体業者からの見積書や現地調査の結果が必要となるため、早めに自治体へ相談して準備を進めることが重要です。
家を解体するまでの流れ
それでは、実際に家を解体する際の具体的な流れを紹介します。
現地調査をする
家の解体工事の最初のステップは現地調査をおこなうことです。
これは、解体業者が実際の現場を確認し、建物の構造や状態、周辺環境を詳細に把握するためにおこなわれます。
特に周囲の建物との距離や重機の搬入経路、解体時に配慮すべきポイント(電線や道路の状況など)の確認がおこなわれます。
現地調査の結果をもとに、見積もりや解体方法が決まるため、業者としっかりとコミュニケーションを取り、疑問点や不安な点をこの段階で解消しておくとよいでしょう。
また、この段階で近隣住民への配慮についても相談し、工事の影響を最小限に抑えるための対策を確認しておくとよいです。
家屋を調査する
現地調査が完了したら、次は家屋自体の詳細な調査がおこなわれます。この調査では、事前に家屋の材質や構造を詳しく調査します。
特にアスベストや鉛などの有害物質が含まれていないかを確認されるでしょう。
アスベストが使用されている場合、特別な処理方法が必要となり、一般的な解体よりも手間がかかり、解体費用が増加するためです。
また、劣化の進行具合や建物の基礎部分の状態も確認され、これに基づいて解体作業の方法が決まります。
解体工事を行う
家屋調査が終了したら、いよいよ解体工事です。
解体は屋根や上部の構造部分から順次進められ、最後に基礎部分を取り壊すのが一般的な方法です。
木造住宅や鉄骨造、コンクリート造など、建物の構造に応じた解体方法が取られ、重機や手作業を組み合わせて進められます。
また、解体中には騒音や振動、粉塵が発生するため、周囲に配慮した養生シートの設置や防音対策がとられるでしょう。
特に住宅密集地では、隣接する建物や道路への影響を最小限に抑えるため、慎重に作業が進められます。
廃材処理・整理
解体が完了したあとには、発生した廃材の処理と敷地の整理がおこなわれます。
廃材には木材、金属、コンクリートなどが含まれており、それぞれに応じた処理方法で処分されます。
廃材処理が完了したら、解体後の敷地が整地され、次の利用に備えた状態に整えられます。
この段階では、敷地が平らにされるだけでなく、不必要な障害物がすべて取り除かれ、建て替えや土地の売却に向けて準備が整います。
廃材処理と敷地整理が終わった時点で、解体工事は正式に完了です。
家の解体で注意すべき点
家の解体を進める際には、解体費用や工期以外にも、いくつか重要な注意点を理解しておく必要があります。
特に解体後の土地の固定資産税の扱いや土地の活用方法、さらには法的な手続きに関しては事前に把握しておくことが重要です。
更地のままだと土地の固定資産税が上がる
家を解体して建物がなくなると、土地は「更地」になります。
この状態では、土地の固定資産税が大幅に上昇する可能性があるため注意が必要です。
家屋が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が軽減されているためです。
この特例は、1戸建てなどの住宅が存在する場合に限られます。
建物がなくなると、200m2以下は1/6、200m2を超える土地には1/3になるといった特例が受けられません。
その結果、解体後に固定資産税が3〜4倍に跳ね上がるケースもあります。
土地をしばらく更地のまま保有する場合には、固定資産税が増加することを見越して資金計画を立てる必要があります。
そのため、解体後にどのように土地を活用するかを事前に考えおきましょう。
解体後に土地活用が可能か確認する
解体を検討する際には、解体後の土地活用についてもあらかじめ確認しておくことが重要です。
解体後に新しい建物を建てる場合、土地の用途や建築に関する規制をしっかりと把握しておく必要があります。
日本では、各地域ごとに用途地域が定められており、これに基づいて建物の高さや用途が制限されることがあります。
例えば、住宅専用地域では商業施設の建築ができなかったり、特定のエリアでは建物の高さ制限があったりします。
事前に建築基準法や都市計画法に基づく制限を確認しておくことが必要です。
特に、古い住宅地や都市部では、近隣との調整が必要な場合もあり、これにより次の建築が予定通りに進まないケースもあります。
また、土地を売却する場合にも、土地の用途や地域の規制が売却価格に影響を与えるため、これらを十分理解したうえで売却戦略を立てる必要があります。
建物の滅失登記を行う
家を解体したあとに必ずおこなうべき手続きが「建物滅失登記」です。
滅失登記は、解体した建物が法的に存在しなくなったことを記録するための手続きであり、これをおこなわないと建物がまだ存在することになります。
その結果、固定資産税が建物付きのまま課税され続けるため、無駄な税負担が発生することになります。
また、土地の売却や新しい建物の建築を計画している場合、滅失登記が未了であると、売買や建築に支障をきたす場合があります。
まとめ
家の解体は、解体費用の内訳をしっかりと理解し、適切な手順を踏めば、スムーズに進めることが可能です。
解体費用は建物の構造や立地、廃材の量などによって大きく変動するため、事前に複数の業者から見積もりを取り、費用を比較することが重要です。
また、助成金制度を活用することで、費用を抑えることもできるでしょう。
さらに、解体後の固定資産税の上昇や土地活用についても、早めに計画を立てておく必要があります。
専門業者に相談したうえで、しっかり解体計画を立て、損のない家の解体をおこないましょう。